「介護の仕事に興味はあるけど、まず何を取ればいいの?」——未経験・無資格でも大丈夫?重度訪問介護の仕事の始め方を読んでくださった方から、こうしたご質問をよくいただきます。「重度訪問介護従業者養成研修」という名前は聞いたことがあっても、実際にどこで受けられるのか、いくらかかるのか、どのくらいの期間で働き始められるのかまでは分かりにくいものです。
先に、要点をまとめます。
- 研修には「基礎課程」「追加課程」という2つの課程があり、これをまとめて学べる「統合課程」を選べば最短数日で修了できます(出典: 各研修事業者の講座案内)
- 埼玉県内では都道府県知事の指定を受けた研修事業者でのみ受講できます。指定事業者の一覧は埼玉県公式サイトで公開されています(出典: 埼玉県「重度訪問介護従業者養成研修事業者の指定について」)
- 受講料は事業者によって差があり、3万円前後〜4万円弱が目安です。事業所によっては採用後に研修費用を負担・補助する制度があります
この記事の後半では、「研修を受けたのに、いざ現場に出たら思っていたのと違った」とならないための、事業所選びで確認しておきたいポイントにも触れます。
重度訪問介護従業者養成研修とはどんな研修?
重度の肢体不自由や知的障害・精神障害のある方に対して、重度訪問介護のサービスを提供するために必要な、都道府県知事指定の研修です。
重度訪問介護は、他の訪問系サービスと違って「長時間にわたり同じ利用者さんに寄り添う」という特性があります。そのため、担当するヘルパーには、一般的な訪問介護員初任者研修とは別に、この研修の修了が義務づけられています(出典: 厚生労働省令に基づく指定基準)。
研修の目的は、大きく分けて次の2つです。
- 重度の障害がある方の暮らしや、コミュニケーションの取り方への理解を深めること
- 外出時の介助や、体位変換・移乗といった基礎的な介護技術を身につけること
未経験・無資格でも大丈夫?重度訪問介護の仕事の始め方でも触れているとおり、この研修は介護の経験がまったくない方を対象に設計されています。座学が中心で、実技も基本動作から丁寧に教えてもらえるため、「介護は初めて」という方でも十分についていける内容です。
訪問介護員初任者研修とは何が違う?
高齢者向けの訪問介護でよく耳にする「訪問介護員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)」と混同される方もいますが、両者は対象とする利用者さんも実施主体も異なります。初任者研修は高齢者福祉の訪問介護を主な対象にしており、重度訪問介護従業者養成研修は障害福祉サービスとして重度の身体・知的・精神障害のある方への長時間支援に特化しています。すでに初任者研修や介護福祉士の資格を持っている方でも、重度訪問介護の現場に入るにはこの研修を別途修了する必要がある点は覚えておいてください。逆に言えば、介護資格がまったく無い状態からでも、この研修さえ修了すれば重度訪問介護の現場で働き始められるという間口の広さが、この制度の特徴です。
研修にはどんな課程がある?基礎・追加・統合の違いは?
基礎課程は障害支援区分4〜5、追加課程を加えると区分6まで対応できるようになります。両方をまとめて学ぶ「統合課程」を選べば、最短数日で修了できます。
研修の課程構成は次のとおりです(出典: 各研修事業者の講座案内・厚生労働省令に基づく標準カリキュラム。時間数は都道府県・研修事業者により多少の幅があります)。
| 課程 | 主な内容 | 対応できる障害支援区分 |
|---|---|---|
| 基礎課程 | 重度の肢体不自由がある方の地域生活に関する講義、基礎的な介護技術・コミュニケーション技術の実習 | 区分4〜5 |
| 追加課程 | 医療的ケアを必要とする利用者の障害・支援に関する講義、外出時の介護技術に関する実習 | 区分4〜6 |
| 統合課程 | 基礎課程と追加課程を合わせて連続で受講するコース。事業者によっては喀痰吸引等研修(基本研修部分)を含むコースもある | 区分4〜6 |
「基礎課程だけ受ければ働けないのか」という質問もよくいただきますが、そうではありません。基礎課程を修了した時点で、障害支援区分4〜5の利用者さんを担当できます。ただし、より支援の必要度が高い区分6の利用者さんを担当するには追加課程まで修了している必要があるため、多くの研修事業者が最初から統合課程での受講を勧めています。
医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養)については、この研修とは別の制度である「喀痰吸引等研修」が必要です。両者の違いや取り方については介護の仕事で手に職をつけたい|医療的ケア資格って何?取り方は?で詳しく解説しています。統合課程のうち医療的ケアを含むコースを選べば、まとめて学べる事業者もあります。
講義と実習、それぞれ何を学ぶ?
基礎課程・追加課程とも、内容は大きく「講義」と「実習」の2つに分かれます(出典: 各研修事業者の講座案内・厚生労働省令に基づく標準カリキュラム)。
- 講義:重度の肢体不自由がある方が地域でどのように暮らしているか、どのような制度に支えられているかという背景知識。追加課程では、これに加えて医療的ケアが必要な利用者さんの障害特性や、緊急時の対応・危険防止についても学びます
- 実習:ベッドから車椅子への移乗、体位変換、食事・排泄の介助といった基礎的な身体介護の技術。追加課程では、外出時の介助技術(車椅子での移動介助、公共交通機関の利用支援など)が加わります
座学中心の講義と、実際に体を動かして覚える実習を組み合わせているため、「知識は覚えたけど体が動かない」「体は動くけど根拠が分からない」という偏りが出にくい構成になっています。実習は少人数のグループで行われることが多く、講師から直接フィードバックを受けながら練習できるのも特徴です。
埼玉県内の受講先はどう探す?
埼玉県が指定した研修事業者の一覧が、埼玉県公式サイトで公開されています。県内には複数の指定事業者があり、さいたま市を中心に定期的に開講されています。
重度訪問介護従業者養成研修は、誰でも自由に開講できるものではありません。都道府県知事の指定を受けた事業者だけが実施できる研修です。埼玉県は「重度訪問介護従業者養成研修事業者の指定について」というページで、指定を受けた事業者の一覧をPDFで公開しています(出典: 埼玉県公式サイト)。
受講先を探すときは、次の2つの方法があります。
- 埼玉県公式サイトの指定事業者一覧を確認する:最も確実な方法です。指定要綱やカリキュラムの詳細もあわせて公開されています
- 講座検索サイトで「埼玉県」「重度訪問介護従業者養成研修」を検索する:開講日程や空き状況を横断的に比較できます
埼玉県内では、さいたま市大宮区をはじめ、複数の地域で定期的に開講されています(出典: 各研修事業者の講座案内)。通学のしやすさを考えると、自宅や勤務予定の事業所から通いやすい場所を軸に選ぶのが現実的です。オンライン講義とスクーリング(対面での実技)を組み合わせたハイブリッド形式の事業者もあるため、働きながら受講したい方は開講形式も確認しておくとよいでしょう。
なお、事業所によっては「弊社と提携している研修先で受講してもらう」という運用をしているところもあります。この場合、受講先を自分で探す必要がなく、日程調整も事業所側が手伝ってくれることが多いため、まずは応募を検討している事業所に相談してみるのも一つの方法です。
費用はどのくらいかかる?
受講料の目安は3万円前後〜4万円弱です。事業所によっては、採用が決まった段階で研修費用を負担・補助する制度があります。
研修費用は事業者やコース内容によって幅があります(出典: 各研修事業者の講座案内)。
- 統合課程(基礎課程+追加課程):おおむね3万円前後が目安
- テキスト代を含むコース:3万5千円〜4万円弱程度になる場合も
費用面で不安を感じる方も少なくないと思いますが、「介護職は給料が安い」は本当?|重度訪問介護の給料事情をぶっちゃけでも触れているとおり、重度訪問介護は他の訪問系サービスと比べて報酬単価が高めに設定されています。この報酬構造を背景に、採用前提での研修費用の全額または一部負担を制度化している事業所も増えています。「研修費用は自己負担が原則」と思い込んで応募をためらう前に、応募を検討している事業所に費用負担の有無を確認することをおすすめします。
費用を抑えるための選択肢
研修費用そのものを抑える方法としては、次のような選択肢があります。
- 事業所の研修費用負担制度を利用する:もっとも確実な方法です。採用が決まった段階、あるいは一定期間の勤務継続を条件に、受講料の全額または一部を事業所が負担してくれるケースがあります
- 複数の研修事業者の受講料を比較する:同じ統合課程でも、事業者によって受講料に数千円〜1万円程度の差が出ることがあります。テキスト代が含まれているか、実習にかかる交通費が別途必要かどうかも合わせて確認すると、実質的な負担額を正確に比較できます
なお、埼玉県が実施する「介護職員資格取得支援事業」という受講料補助制度もありますが、これは実務者研修(高齢者介護分野の資格)の受講料が対象で、重度訪問介護従業者養成研修は対象に含まれません(出典: 埼玉県「介護職員資格取得支援事業について」)。制度名が似ているため混同しやすい点は注意してください。重度訪問介護に関する費用面でのサポートは、現時点では基本的に各事業所の独自制度に頼る形になります。
最短でどのくらいの期間で働き始められる?
統合課程を選べば、最短で数日〜1週間程度の受講期間で修了できます。修了後は先輩スタッフとの同行研修を経て、少しずつ一人での訪問へ移行していきます。
「働き始めるまでどのくらいかかるのか」は、多くの方が気になるポイントだと思います。一般的な流れを整理します。
- 研修に申し込む:講座検索サイトや事業者の公式サイトから申し込みます(当日〜数日)
- 統合課程を受講する:講義と実習を合わせて数日間かけて学びます(コースにより異なりますが最短数日〜1週間程度)
- 修了証を受け取る:研修事業者から修了証明書が発行されます
- 事業所に応募・採用される:研修修了前後どちらのタイミングで応募してもかまいません
- 先輩スタッフとの同行研修を受ける:現場で実際の介助方法を学びます(期間は利用者さんの状態や習熟度により異なります)
- 一人での訪問へ移行:十分に準備ができたら、少しずつ独り立ちしていきます
研修そのものは短期間で修了できますが、「安心して一人で訪問できるようになる」までにはもう少し時間がかかります。この点は未経験・無資格でも大丈夫?重度訪問介護の仕事の始め方で解説している「先輩との同行研修」のプロセスと重なる部分です。研修の修了はあくまでスタートラインで、そこから現場で経験を積んでいくという流れをイメージしておくと、入職後のギャップが少なくなります。
研修を受ける前に確認しておきたい失敗しないポイント
「研修を受けたのに、応募したい事業所の勤務条件と合わなかった」という失敗を避けるには、研修先を決める前に応募先の事業所へ相談するのが確実です。
実際にあった相談で多いのが、次のようなケースです。
- 提携先以外の研修を受けてしまい、事業所の研修費用補助が使えなかった:事業所によっては提携研修先が決まっている場合があります。先に応募したい事業所へ「どこで研修を受ければいいか」を確認しておくと、費用負担の恩恵を受けられる可能性が高くなります
- 統合課程ではなく基礎課程だけを受講してしまい、区分6の利用者さんを担当できなかった:応募先の事業所がどの区分の利用者さんを主に担当しているかによって、必要な課程が変わります。事前に確認しておくと二度手間を防げます
- 開講形式(通学のみ/オンライン併用)を確認せずに申し込み、働きながらの受講が難しかった:現在別の仕事をしながら転職を検討している方は特に、開講スケジュールと自分の生活リズムが合うかを事前に確認しておくことが大切です
こうした失敗の多くは、研修に申し込む前に応募先の事業所へ一度相談することで防げます。「まだ応募するかどうか決めていないけれど、研修について聞きたい」という段階での相談も、多くの事業所は歓迎しています。
研修と現場、両方を体験してから決めたい方へ
研修だけで働くイメージを固めるのが難しい、という方もいると思います。その場合は、応募先の事業所に見学や職場体験ができないかを聞いてみるのも一つの方法です。実際の訪問に同行させてもらえる事業所もあり、研修で学ぶ内容と現場の雰囲気の両方を確認したうえで、研修に申し込むかどうかを判断できます。「研修費用を払ったのに、現場が自分に合わなかった」というミスマッチを避けるうえで、遠回りに見えて確実な方法です。
埼玉で重度訪問介護の仕事を探している方へ
ノベラクトケア(株式会社Noveract)は、川越市に本社、さいたま市西区に事業所を構え、24時間365日体制で重度訪問介護サービスを提供している事業所です。全スタッフが医療的ケアの資格を保有しており、未経験からご入職いただいたスタッフも多く活躍しています。
研修先の選び方や費用負担の相談も含めて、まずはお気軽にお問い合わせください。「研修を受ける前に、まず話だけ聞いてみたい」という段階でも構いません。
今、少しでも興味があるなら、まずは埼玉県公式サイトで指定研修事業者の一覧をざっと眺めてみるところから始めてみてください。実際の開講日程やアクセスのしやすさを見てみるだけでも、働き始めるまでの道のりが具体的にイメージしやすくなります。
お問い合わせ先:048-871-6572(ノベラクトケア)
まとめ
重度訪問介護従業者養成研修は、基礎課程・追加課程・統合課程の3種類があり、統合課程を選べば最短数日〜1週間程度で修了できます。この記事を読み終えた今、次の2点を判断できる状態になっているはずです。
- 埼玉県内でどこに指定研修事業者があるかの調べ方と、費用の目安(3万円前後〜4万円弱)
- 研修先を決める前に応募先の事業所へ相談しておくべき理由(提携研修先・必要な課程・開講形式のミスマッチを防ぐため)
未経験からでも、正しい順番で進めれば決して遠い道のりではありません。まずは一歩、情報を集めるところから始めてみてください。
よくある質問
Q. 重度訪問介護従業者養成研修は誰でも受講できますか?
A. はい、受講資格に年齢や学歴の制限は基本的にありません。介護の経験や資格がない方でも受講できる研修として設計されています(出典: 各研修事業者の講座案内)。
Q. 研修を修了すればすぐに一人で訪問できますか?
A. いいえ、研修修了後はまず先輩スタッフとの同行研修があります。利用者さんの状態や習熟度に応じて期間は異なりますが、いきなり一人で訪問することはありません。
Q. 統合課程と基礎課程だけの受講、どちらを選ぶべきですか?
A. 応募を検討している事業所が主に担当している利用者さんの障害支援区分によって異なります。区分6の利用者さんを担当する可能性がある場合は、追加課程まで含む統合課程がおすすめです。事前に応募先の事業所へ確認しておくと確実です。
Q. 研修費用は自分で払う必要がありますか?
A. 事業者やコースによって受講料は異なりますが、事業所によっては採用を前提に研修費用を負担・補助する制度を設けている場合があります。応募を検討している事業所に確認することをおすすめします。
Q. 埼玉県内のどこで研修が受けられるか、確実に知る方法はありますか?
A. 埼玉県公式サイトで公開されている「重度訪問介護従業者養成研修事業者の指定について」のページに、指定を受けた事業者の一覧が掲載されています。最も確実な確認方法です。
