ご家族がALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されたとき、多くの方が大きな不安を感じます。
「これからどうなるの?」「何をすればいいの?」「自宅で暮らし続けることはできるの?」
まだ頭の中が整理できていない状態だと思います。それは当然のことです。突然の診断に戸惑わない人はいません。
この記事では、ALSと診断された後にご家族がまずやるべきこと、使える支援制度、そして在宅で暮らし続けるための選択肢について、できるだけやさしい言葉で解説します。一つひとつ、順番に進めていけば大丈夫です。
ALSってどんな病気?
ALSは、正式には「筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)」といいます。脳や脊髄から筋肉に「動け」という指令を送る神経(運動ニューロン)が少しずつ働かなくなる病気です。
主な症状の特徴
- - 手足の筋肉が徐々に動かしにくくなります
- - 話すこと、飲み込むことが難しくなることがあります
- - 進行すると、呼吸をする筋肉にも影響が出ることがあります
- - 意識や思考力、五感(見る・聞くなど)はしっかり保たれます
ALSの進み方には個人差があります。進行が速い方もいれば、ゆるやかな方もいます。診断を受けたからといって、すぐに生活が大きく変わるわけではありません。
大切なのは、症状の変化に合わせて、適切な支援を受けられる体制を早めに整えておくことです。
まずやるべき3つのこと
診断を受けた直後は、何から手をつけていいかわからないのが普通です。ここでは、ご家族がまず取り組むべき3つのことをお伝えします。
1. 主治医としっかり話す
まず大切なのは、主治医に今後の見通しについて聞くことです。
- - 今の症状はどの段階なのか
- - 今後どのように進行する可能性があるのか
- - どんなタイミングでどんな支援が必要になるのか
一度の診察ですべてを理解する必要はありません。わからないことがあれば、何度でも質問してください。メモを持参して、聞きたいことをあらかじめ書き出しておくと安心です。
また、ALSの専門医がいる病院や、難病の診療に力を入れている医療機関を紹介してもらうことも検討しましょう。
2. 市区町村の障害福祉課に相談する
次に、お住まいの市区町村の役所にある「障害福祉課」に相談してください。
「まだ障害者手帳も持っていないのに相談していいの?」と思われるかもしれませんが、大丈夫です。手帳がなくても相談できますし、むしろ早めに相談しておくことで、必要な手続きをスムーズに進められます。
障害福祉課では、以下のようなことを案内してもらえます。
- - 障害者手帳の申請について
- - 障害福祉サービス(重度訪問介護など)の利用について
- - 障害支援区分の認定手続きについて
- - 各種助成制度について
3. 介護サービスの選択肢を知る
ALSが進行すると、日常生活にさまざまな介助が必要になります。その時に備えて、どんな介護サービスがあるのかを早いうちから知っておくことが大切です。
特に、重度の障害がある方が自宅で暮らし続けるための「重度訪問介護」というサービスは、ALSの方に多く利用されています。後ほど詳しく説明します。
使える支援制度まとめ
ALSと診断された方とそのご家族が利用できる主な支援制度をまとめます。
障害者手帳(身体障害者手帳)
身体の機能に障害がある方に交付される手帳です。手帳を持っていると、医療費の助成、税金の控除、公共交通機関の割引など、さまざまなサービスを受けられます。
ALSの場合、症状の進行に応じて申請できます。主治医に「身体障害者診断書」を書いてもらい、市区町村の障害福祉課に申請します。
等級は1級(最も重い)から6級まであり、障害の程度に応じて決まります。症状が進行して障害が重くなった場合は、等級の変更(再認定)を申請することもできます。
重度訪問介護
重度の障害がある方が、自宅で長時間の介護を受けられる制度です。障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつで、ALSの方に多く利用されています。
利用するには「障害支援区分4以上」の認定が必要です。障害支援区分とは、どのくらい支援が必要かを6段階で表したもので、数字が大きいほど支援の必要度が高いことを示します。
重度訪問介護で受けられるケアは幅広く、身体の介助、家事の手伝い、外出のつきそい、見守り、さらには医療的ケアまで含まれます。詳しくは後の章で説明します。
特定疾患医療費助成(指定難病の医療費助成)
ALSは国が指定する「指定難病」のひとつです。この制度を利用すると、ALSの治療にかかる医療費の自己負担が軽減されます。
申請には、難病指定医が作成する「臨床調査個人票」が必要です。お住まいの都道府県や指定都市の窓口(保健所や保健センター)で手続きを行います。
認定されると「医療受給者証」が交付され、指定医療機関での医療費について、所得に応じた自己負担上限額が適用されます。
障害年金
ALSにより日常生活や仕事に支障が出ている場合、障害年金を受給できる可能性があります。
障害年金には、国民年金に加入している方が対象の「障害基礎年金」と、厚生年金に加入している方が対象の「障害厚生年金」があります。
申請の手続きは複雑な部分もあるため、年金事務所や社会保険労務士に相談されることをおすすめします。主治医の診断書が必要になりますので、早めに主治医にも相談しておきましょう。
在宅で暮らし続けるという選択
ALSと診断されると、「施設に入るしかないのでは」と考える方もいらっしゃいます。しかし、適切な支援があれば、自宅で暮らし続けることは十分に可能です。
実際に、多くのALSの方が重度訪問介護を利用しながら、住み慣れたご自宅で生活を続けています。
重度訪問介護でできること
重度訪問介護では、生活のあらゆる場面をサポートできます。
- - 身体の介助 — 食事、入浴、着替え、トイレ、体の向きを変えるなど
- - 家事の手伝い — 料理、洗濯、掃除、買い物など
- - 外出のつきそい — 通院、散歩、買い物、社会活動への参加など
- - 見守り — ご自宅での安全を見守り、急な体調の変化にもすぐ対応
- - コミュニケーションの支援 — 意思の伝達が難しい方への代筆・代読、コミュニケーション機器の操作支援
24時間のケアも可能
重度訪問介護の大きな特徴は、日中だけでなく夜間も含めた長時間のケアを受けられることです。
ALSが進行すると、夜間にもたんの吸引や体位変換(体の向きを変えること)が必要になることがあります。重度訪問介護であれば、24時間体制でヘルパーが付き添い、夜間も安心して過ごせる環境を整えることができます。
医療的ケアにも対応できます
ALSが進行すると、医療的なケアが日常的に必要になることがあります。「医療行為が必要になったら、自宅では無理なのでは?」と思われるかもしれませんが、重度訪問介護では医療的ケアにも対応できます。
たんの吸引(喀痰吸引)
ALSが進むと、のどに溜まったたん(痰)を自分で出すことが難しくなることがあります。その場合、専用の機器を使ってたんを吸い取る「たんの吸引」が必要になります。
重度訪問介護のスタッフの中には、たんの吸引を行うための研修を修了し、資格を持っている者がいます。こうしたスタッフがケアに入ることで、医療的ケアも自宅で安心して受けられます。
チューブからの栄養注入(経管栄養)
飲み込む力が弱くなった場合、口から食事をとることが難しくなることがあります。その場合、おなかにつくった小さな穴(胃ろう)や鼻からのチューブを通じて、栄養を直接胃に届ける方法がとられます。
この栄養注入も、研修を修了した資格のあるスタッフが対応できます。
人工呼吸器の管理
呼吸をする筋肉に影響が出た場合、人工呼吸器を使うことがあります。人工呼吸器を付けた状態でも、適切なケアがあれば自宅で生活を続けることができます。
呼吸器の管理自体は医療行為のため医師や看護師が行いますが、重度訪問介護のスタッフは日常的な見守りや、異変があった場合の迅速な連絡といった面でサポートします。訪問看護と重度訪問介護を組み合わせて利用する方が多くいらっしゃいます。
費用はどのくらいかかるの?
「こんなに手厚いケアを受けたら、費用が大変なのでは?」と心配される方もいらっしゃるでしょう。
重度訪問介護は障害福祉サービスのため、利用者の自己負担には月額の上限が設けられています。世帯の収入に応じて負担額が決まり、上限を超えた分は公費でまかなわれます。
- - 生活保護世帯 → 自己負担 0円
- - 住民税非課税世帯 → 自己負担 0円
- - 住民税課税世帯(所得割16万円未満) → 月額上限 9,300円
- - 上記以外の課税世帯 → 月額上限 37,200円
月に何時間サービスを利用しても、上限を超える負担はありません。非課税世帯や生活保護世帯の方は、自己負担0円で利用できます。
また、前述の「特定疾患医療費助成」を利用すれば、ALSの治療にかかる医療費の負担も軽減されます。複数の制度を組み合わせることで、経済的な負担をかなり抑えることができます。
一人で抱え込まないでください
ALSという病気と向き合うことは、ご本人だけでなくご家族にとっても大きな負担です。「自分がしっかりしなければ」「家族だから自分が介護しなければ」と、すべてを背負い込もうとする方がたくさんいらっしゃいます。
しかし、介護を一人で抱え込む必要はありません。 使える制度やサービスはたくさんあります。頼れる場所に頼ることは、決して恥ずかしいことではなく、ご本人のためにもご家族自身のためにも大切なことです。
相談できる場所
困ったとき、不安なときに相談できる場所をまとめます。
- - 主治医・看護師 — 病状のことはもちろん、利用できる制度について教えてもらえることもあります
- - 難病相談支援センター — 各都道府県に設置されている、難病の方とご家族のための相談窓口です。生活全般の相談ができます。埼玉県の場合は「埼玉県難病相談支援センター」があります
- - 市区町村の障害福祉課 — 障害福祉サービスの申請や制度について案内してもらえます
- - 相談支援事業所 — ケアプラン(サービスの利用計画)を作成してくれる専門の相談窓口です
- - ノベラクトケア(電話:048-871-6572) — 重度訪問介護のことなら、お気軽にご相談ください
ノベラクトケアができること
ノベラクトケア(株式会社Noveract) は、埼玉県川越市に本社を置き、さいたま市西区にも事業所を構える重度訪問介護の事業所です。
- - 24時間365日対応 — 夜間・休日も含めた切れ目のないケアを提供しています
- - 全スタッフが医療的ケア資格を保有 — たんの吸引や経管栄養に、どのスタッフでも対応可能です。担当者が替わっても安心です
- - ALSの方のケア実績 — ALSをはじめとする難病の方へのケアを提供しています
「まだ介護サービスが必要な段階ではないけれど、今後のことが不安」という段階でも、お気軽にご相談ください。早めに情報を知っておくことが、いざという時の安心につながります。
まとめ:一歩ずつ、できることから
ALSと診断されて、先が見えない不安の中にいるかもしれません。でも、やるべきことを一つずつ進めていけば、必ず道は開けます。
まずは、この3つから始めてみてください。
- - 主治医に今後のことを相談する
- - 市区町村の障害福祉課に連絡する
- - 使える支援制度を確認する
そして、介護のことで困ったら、いつでもノベラクトケアにご連絡ください。
電話番号:048-871-6572
ご家族の暮らしを、一緒に支えていきます。
