車いす、介護用ベッド、たんの吸引器、おむつ——。障害のある方の生活に必要なものは思った以上にたくさんあります。そして、そのどれもが決して安くはありません。
「全部自分たちで買わないといけないの?」と不安に思っている方もいらっしゃるかもしれません。でも、ご安心ください。介護用品や福祉用具の費用を軽くするための助成制度がいくつも用意されています。
この記事では、障害のある方やそのご家族が使える主な助成制度をまとめました。「うちは何が使えるんだろう?」と思ったときの参考にしてください。
介護に必要なものは意外と多い
日々の介護で必要になるものを挙げてみると、その多さに驚く方もいらっしゃいます。
- - 車いす — 外出や室内移動に使用
- - 介護用ベッド(特殊寝台) — 高さや角度の調整ができるベッド
- - たんの吸引器 — 自力でたんを出せない方に必要な医療機器
- - おむつ — 毎日使うものなので、年間にするとかなりの出費に
- - 体位変換用のクッション — 床ずれ(褥瘡)を防ぐために使用
- - 入浴補助用具 — 浴室で安全に入浴するための椅子や手すり
- - ストーマ用品 — 人工肛門・人工膀胱を使用している方の消耗品
- - コミュニケーション機器 — 意思伝達が難しい方のための装置
これらをすべて自費でそろえるとなると、大きな負担になります。しかし、国や自治体の制度を活用することで、費用の大部分をまかなえるケースが多いのです。
補装具費支給制度
どんな制度?
補装具費支給制度は、障害のある方の身体の機能を補うための用具(補装具)を、公費で支給する制度です。障害者総合支援法に基づく国の制度で、全国どこでも利用できます。
対象となる補装具の例
- - 車いす(手動・電動)
- - 座位保持装置(姿勢を安定させるための装置)
- - 義肢(義手・義足)
- - 装具(体の一部を支える器具)
- - 歩行器
- - 重度障害者用意思伝達装置(目の動きなどで文字を入力する機器)
- - 補聴器
自己負担はどれくらい?
原則として、費用の1割が自己負担です。ただし、世帯の所得に応じた月額上限額があり、上限を超えた分は公費で負担されます。
- - 生活保護世帯・市町村民税非課税世帯 — 自己負担0円
- - 市町村民税課税世帯 — 月額上限37,200円
たとえば電動車いすは数十万円することもありますが、この制度を使えば自己負担はかなり抑えられます。
申請先
お住まいの市区町村の障害福祉課で申請します。医師の意見書(処方書)が必要になることが多いため、まずは主治医にご相談ください。
日常生活用具給付等事業
どんな制度?
日常生活用具給付等事業は、障害のある方の日常生活をサポートする用具を給付(支給)または貸与(貸し出し)する制度です。こちらは市区町村が実施する事業のため、お住まいの自治体によって対象品目や給付額が異なります。
対象となる用具の例
- - 特殊寝台(介護用ベッド) — 背上げ・高さ調整機能付きのベッド
- - 特殊マット — 床ずれ防止用のマットレス
- - たんの吸引器 — 電動式の吸引器
- - ネブライザー(吸入器) — 薬を霧状にして吸入する機器
- - ストーマ用品 — 人工肛門・人工膀胱の消耗品(パウチ等)
- - 紙おむつ — 自治体によって対象となる場合がある
- - 居宅生活動作補助用具 — 手すりの取り付けなど住宅改修に関わるもの
- - 火災警報器(自力で避難が困難な方向け)
- - 入浴補助用具
自己負担はどれくらい?
多くの自治体では、費用の1割が自己負担です(所得に応じた上限あり)。ただし、自治体によって負担割合や上限額が異なる場合があるため、詳しくはお住まいの市区町村にご確認ください。
申請先
お住まいの市区町村の障害福祉課で申請します。
おむつの助成制度
毎日使うものだから、積み重なると大きな出費に
おむつは消耗品のため、毎月の出費が意外と大きくなります。月に数千円から1万円以上かかることも珍しくありません。
自治体ごとの助成がある
おむつの助成は自治体ごとに制度が異なります。主な助成の形は次のようなものがあります。
- - おむつの現物支給 — 自治体が指定するおむつを届けてもらえる
- - おむつ購入費の助成(償還払い) — 購入後に領収書を提出して助成金を受け取る
- - おむつ給付券の支給 — 指定の薬局やお店でおむつと交換できる券が届く
助成の対象や金額は自治体によってかなり差があります。まずはお住まいの市区町村に「おむつの助成制度はありますか?」と問い合わせてみてください。意外と知られていない制度なので、聞いてみて初めて知ったという方も多いです。
なお、先ほどご紹介した「日常生活用具給付等事業」の中で、紙おむつが対象品目に含まれている自治体もあります。
住宅改修費の助成
自宅で安全に暮らすための工事にも助成があります
障害のある方がご自宅で安全に暮らすために、住宅を改修する費用の一部が助成される制度があります。
対象となる改修の例
- - 手すりの取り付け — 廊下、トイレ、浴室、玄関など
- - 段差の解消 — スロープの設置、床のかさ上げなど
- - 床材の変更 — 滑りにくい素材への張り替え
- - トイレの改修 — 洋式トイレへの変更、スペースの拡張
- - 扉の改修 — 開き戸から引き戸への変更、ドアノブの変更
- - 浴室の改修 — 浴槽の交換、床材の変更など
制度の種類
住宅改修に関する助成制度は、複数の制度が併存しています。
- - 日常生活用具給付等事業(居宅生活動作補助用具) — 障害者総合支援法に基づく制度。対象は障害のある方で、市区町村が実施。助成上限額は自治体により異なりますが、20万円程度が一般的です
- - 介護保険の住宅改修 — 65歳以上、または40歳以上の特定疾病による要介護認定を受けた方が対象。上限20万円(自己負担1〜3割)
- - 自治体独自の助成制度 — 上記に上乗せする形で独自の助成を設けている自治体もあります
どの制度が使えるかは、お子さまやご家族の状況によって異なります。まずは市区町村の障害福祉課に相談し、使える制度を確認するのが確実です。
申請の流れ(基本的なステップ)
助成制度の申請は、どの制度もおおむね以下のような流れです。
ステップ1:市区町村の障害福祉課に相談
まず、お住まいの市区町村の障害福祉課(自治体によっては「福祉課」「障害者支援課」などの名称)に連絡します。電話でも窓口でも相談できます。
「こういうものが必要なのですが、助成は受けられますか?」と聞いてみてください。必要な手続きや書類を教えてもらえます。
ステップ2:申請書類の提出
窓口で申請書を受け取り、必要事項を記入して提出します。制度によっては、以下の書類が必要になることがあります。
- - 医師の意見書・処方書 — 補装具などの場合
- - 障害者手帳のコピー
- - 見積書 — 用具の購入先や改修業者からもらう
- - カタログや写真 — 申請する用具のもの
ステップ3:審査・決定
市区町村が申請内容を審査し、支給が認められれば「支給決定通知」が届きます。審査には数週間かかることがあります。
ステップ4:用具の受け取り・工事の実施
支給が決定したら、用具を受け取ったり、住宅改修工事を実施したりします。
注意点として、多くの制度では「支給決定前に購入・工事をすると助成の対象外になる」ことがあります。 必ず事前に申請し、決定通知を受けてから購入・工事を進めてください。
「何がもらえるかわからない」場合はまず相談を
ここまで複数の制度をご紹介しましたが、「結局、うちの場合は何が使えるの?」と感じた方もいらっしゃると思います。
実際のところ、使える制度はお子さまの障害の種類・程度、年齢、世帯の所得、お住まいの自治体によって異なります。ご自身だけで全部調べるのは大変です。
そんなときは、以下の窓口に相談してみてください。
- - 市区町村の障害福祉課 — 制度全般について相談できる最初の窓口
- - 相談支援事業所 — 担当の相談支援専門員がいれば、福祉用具の相談にものってくれます
- - 主治医やリハビリスタッフ — 医学的な観点から必要な用具を判断してもらえます
- - 福祉用具の販売・レンタル事業者 — 具体的な製品選びの相談ができます
「こんなことで相談していいのかな」と遠慮される方もいますが、制度を案内するのは窓口の大切な仕事です。気軽に問い合わせてみてください。
制度を使って、介護の負担を少しでも軽く
介護に必要なものをすべて自費でそろえる必要はありません。使える制度は積極的に活用して、経済的な負担を少しでも減らすことが、長く介護を続けていくうえで大切です。
「知らなかったから使えなかった」ということがないよう、まずは情報を集めるところから始めてみてください。
ノベラクトケア(株式会社Noveract)は、埼玉県で重度訪問介護サービスを提供しています。川越市に本社、さいたま市西区に事業所を構え、24時間365日の支援体制で、全スタッフが医療的ケアの資格を保有しています。
日々のケアの中で「こういう用具があったら楽になるのに」「助成制度があるって聞いたけど、うちも使えるのかな」といったお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。直接の助成申請は市区町村が窓口ですが、制度の情報提供や、相談先のご案内はお手伝いできます。
お電話でのご相談:048-871-6572
必要なものをきちんとそろえて、ご本人もご家族も無理なく過ごせる環境を整えていきましょう。
