「外に出たい」——そんな気持ちがあっても、重い障害があると「自分には無理だ」とあきらめてしまうことがあります。
ご家族も、「外出先で体調が悪くなったらどうしよう」「移動中にたんの吸引が必要になったら?」と心配になり、つい外出を避けてしまうかもしれません。
でも、あきらめる必要はありません。重度訪問介護には「外出支援」という仕組みがあり、ヘルパーが付き添うことで、通院もお買い物もお出かけも実現できます。
この記事では、外出支援の内容や利用条件、居宅介護の通院等介助との違いまで、わかりやすくお伝えします。
「外に出られない」という孤立感について
障害が重くなると、自然と外出の機会が減っていきます。最初は「今日は体調が悪いから」と一日だけのつもりだったのが、いつの間にか何週間も、何か月も家の中だけで過ごすようになってしまう——そんなことは珍しくありません。
外出ができなくなると、困るのは買い物や通院だけではありません。
- - 季節の変化を感じられない
- - 人と会う機会がなくなる
- - 「自分は社会とつながっていない」という気持ちが強くなる
- - ご家族も一緒に外出を控えるようになり、家族全体の生活が狭くなる
こうした孤立感は、ご本人の心身の状態にも影響します。外に出ないことで体力が落ち、さらに外出が難しくなるという悪循環に陥ることもあります。
ご家族の方も、「もっと外に連れ出してあげたいけど、一人では対応しきれない」と感じていらっしゃるかもしれません。その気持ちは、とても自然なものです。
重度訪問介護の外出支援とは
重度訪問介護は、ご自宅での身体介護や家事援助だけでなく、外出時の介護もサービスの一部として含まれています。
一般的な訪問介護では、外出の支援は別のサービスとして扱われることが多いのですが、重度訪問介護の場合は、日常生活に必要な外出であれば、ふだんのケアの延長として支援を受けられます。
たとえば、午前中は自宅で身体介護を受けて、午後からヘルパーと一緒に外出する——というように、一日の流れの中で自然に外出を組み込むことができます。
外出支援では、ヘルパーが以下のような介助を行います。
- - 移動の介助(車いすの操作、歩行の見守り・支えなど)
- - 外出先での身体介護(食事の介助、トイレの介助など)
- - 外出中の体調管理(体温調節、水分補給の声かけ、体位の調整など)
- - 医療的ケア(たんの吸引など、必要に応じて対応)
- - コミュニケーション支援(外出先でのやりとりのサポート)
つまり、ご自宅で受けているケアを外出先でも継続して受けられるということです。
外出支援でできること
「外出支援」と聞くと、病院への送り迎えだけをイメージされる方も多いのですが、実際にはもっと幅広い外出に対応しています。
通院
もっとも利用の多い外出先のひとつが病院です。定期的な受診、検査、リハビリなど、通院が必要な方にとって外出支援は欠かせません。
ヘルパーは病院までの移動だけでなく、院内での待ち時間中の見守りや体調管理も行います。長時間の待ち時間がある場合でも、体位を変えたり、水分をとったりするサポートがあるので安心です。
買い物
日用品や食料品の買い物にも、ヘルパーが付き添います。
ご本人が店内で商品を選ぶことが難しい場合は、ご本人の希望を聞きながらヘルパーが代わりに商品を手に取ったり、一緒に選んだりすることもできます。「自分で選ぶ」という体験は、生活の満足感につながります。
散歩・公園など
天気のよい日に近所を散歩したり、公園でゆっくり過ごしたりすることも、外出支援の対象です。
「たったそれだけのこと」と思われるかもしれませんが、外の空気を吸い、季節を感じ、道ですれ違う人に挨拶をする——そうした経験は、長い在宅生活のなかで心身の健康を保つうえでとても大切なものです。
社会参加・余暇活動
地域の行事に参加する、友人に会いに行く、映画や美術館に行くなど、社会参加や余暇活動のための外出も支援の対象になります。
ただし、外出支援の範囲は「日常生活に必要な外出」とされており、すべての外出が対象になるわけではありません。具体的にどのような外出が認められるかは、お住まいの市区町村の判断によります。利用を希望される場合は、事前に相談支援専門員(障害福祉サービスの利用計画を一緒に考えてくれる専門職)やヘルパー事業所に確認するのが確実です。
移動中のケアについて
外出で心配されることのひとつが、「移動中に何かあったらどうしよう」ということではないでしょうか。
重度訪問介護の外出支援では、移動中もケアが途切れません。
たんの吸引などの医療的ケア
たんの吸引が必要な方の場合、外出先や移動中でもヘルパーが吸引を行います。ただし、これには「喀痰吸引等研修」(たんの吸引や経管栄養を行うための研修)を修了したヘルパーが対応する必要があります。
事業所を選ぶ際は、医療的ケアに対応できるスタッフがいるかどうかを確認しておくと安心です。
体調の変化への対応
外出中は、気温の変化や移動の疲れなどで体調が変わりやすくなります。ヘルパーは、以下のようなことに気を配りながら同行します。
- - 表情や顔色の観察
- - こまめな水分補給の声かけ
- - 寒暖への対応(ブランケットの調整、日差しを避けるなど)
- - 休憩のタイミングの判断
体調が優れないときは、無理せず予定を変更したり、早めに帰宅したりする判断も行います。
車いすの操作
車いすをご利用の方の場合、段差や坂道、狭い通路などの移動をヘルパーがサポートします。電動車いすの操作補助や、外出先でのブレーキ管理なども含まれます。
外出支援の利用条件
重度訪問介護の外出支援を利用するためには、いくつかの条件があります。
受給者証の範囲内で利用する
重度訪問介護を利用するには、市区町村から交付される受給者証(障害福祉サービスの利用を認める証明書)が必要です。受給者証には、ひと月あたりに利用できるサービスの時間数が記載されています。
外出支援も、この決められた時間数の範囲内で利用します。つまり、自宅でのケアと外出支援を合わせた合計時間が、受給者証に記載された時間数を超えないようにする必要があります。
障害支援区分の要件
重度訪問介護を利用できるのは、障害支援区分4以上の認定を受けている方です。まだ認定を受けていない場合は、お住まいの市区町村の障害福祉課に申請が必要です。
外出先の制限
先ほども触れましたが、外出支援の対象は「日常生活上必要な外出」です。通院、買い物、公的機関での手続き、社会参加活動などが一般的に認められています。
一方で、通勤や通学、営業活動のための外出などは対象外とされています。ただし、市区町村によって判断が異なる場合もありますので、「これは対象になるかな?」と迷ったら、まず相談してみることをおすすめします。
居宅介護の「通院等介助」との違い
障害福祉サービスには、重度訪問介護のほかにも居宅介護(ホームヘルプ)というサービスがあり、そのなかに「通院等介助」という外出に関するサービスがあります。
名前が似ているのでわかりにくいのですが、両者にはいくつかの違いがあります。
対象者の違い
- - 居宅介護の通院等介助:障害支援区分2以上の方が対象
- - 重度訪問介護の外出支援:障害支援区分4以上の方が対象
サービスの範囲
- - 居宅介護の通院等介助:主に通院のための移動介助に限定されます。買い物や散歩など、通院以外の外出には原則として対応していません
- - 重度訪問介護の外出支援:通院だけでなく、買い物、散歩、社会参加など、日常生活に必要な幅広い外出に対応します
ケアの一体性
- - 居宅介護の通院等介助:外出の支援だけを単発で利用する形になります
- - 重度訪問介護の外出支援:自宅でのケアの延長として、生活全体のなかに外出を組み込むことができます。同じヘルパーが自宅でのケアから外出まで一貫して対応するので、ご本人の体調や状態を把握したうえで外出できるという安心感があります
このように、障害が重く、外出時にも手厚いケアが必要な方にとっては、重度訪問介護の外出支援のほうが適している場合が多いです。
まずは「ちょっとした外出」から始めてみませんか
「外出支援を使ってみたいけど、いきなり遠くに出かけるのは不安」という方は、まず近所を少しだけ散歩することから始めてみてはいかがでしょうか。
最初は玄関の前に出て外の空気を吸うだけでも構いません。それだけでも、ご本人にとっては大きな一歩です。
短い外出を何度か経験して、ヘルパーとの連携に慣れてきたら、少しずつ距離や時間を伸ばしていくことができます。買い物に行ったり、公園でお花を見たり——そうした「当たり前の外出」を、一つひとつ取り戻していきましょう。
外出支援を利用するためには、受給者証の内容やサービス計画の調整が必要な場合もあります。「自分の場合はどうなるんだろう?」と思ったら、まずは相談支援専門員や利用中の事業所に聞いてみてください。
お問い合わせ
外出支援について詳しく知りたい方、「うちの場合は使えるの?」と気になる方は、お気軽にご相談ください。
ノベラクトケア(株式会社Noveract)では、さいたま市西区の事業所を拠点に、重度訪問介護の外出支援に対応しています。全スタッフが医療的ケアの資格を保有しており、たんの吸引が必要な方の外出もサポートいたします。
まずはお電話でのご相談から、お気軽にどうぞ。
電話番号:048-871-6572(24時間365日対応)
