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家族のための知識

脊髄損傷の家族を自宅で介護するために知っておきたいこと

ある日突然、交通事故やスポーツ中のけが、あるいは病気によって、ご家族が脊髄損傷(せきずいそんしょう)を負ってしまうことがあります。

入院中は病院のスタッフがケアをしてくれますが、退院が近づいてくると、「家に帰ってきたら、どうやって介護すればいいのだろう」という不安が大きくなってくるものです。

この記事では、脊髄損傷のご家族を自宅で介護するにあたって知っておきたいこと――必要なケアの内容、使える制度、住環境の整え方などを、できるだけわかりやすくお伝えします。

脊髄損傷とは

脊髄(せきずい)とは、背骨の中を通っている太い神経の束のことです。脳からの指令を体の各部分に伝え、また体からの感覚を脳に伝えるという、体と脳をつなぐ大切な通り道の役割を果たしています。

この脊髄が事故や病気によって傷つくと、傷ついた場所より下の部分に、動きや感覚の障害が出ます。これが脊髄損傷です。

損傷の位置によって影響が異なります

脊髄損傷で大切なのは、「どの高さで傷ついたか」によって、体への影響が大きく変わるということです。

  • - 首の高さ(頸髄)で損傷した場合 — 両手・両足に麻痺が出ることがあります。これを「四肢麻痺(ししまひ)」と呼びます。損傷の程度によっては、呼吸にも影響が出ることがあります。
  • - 背中や腰の高さで損傷した場合 — 主に両足に麻痺が出ます。これを「対麻痺(ついまひ)」と呼びます。上半身の動きは保たれることが多いです。
  • - 損傷の程度にも差があり、まったく動かない「完全麻痺」と、一部の感覚や動きが残る「不完全麻痺」があります。

同じ「脊髄損傷」でも、一人ひとり状態が違います。だからこそ、その方に合ったケアや支援の計画を立てることが大切になります。

在宅生活で必要になるケア

脊髄損傷の方が自宅で暮らすにあたって、どのようなケアが必要になるかは、損傷の位置や程度によって異なります。ここでは、多くの方に共通する主なケア内容を紹介します。

排泄のケア

脊髄損傷では、膀胱(ぼうこう)や腸の機能にも影響が出ることが多いです。

  • - 排尿 — 自力で排尿が難しくなる場合があり、カテーテル(細い管)を使って尿を出す「導尿(どうにょう)」が必要になることがあります。ご本人が自分で行う「自己導尿」ができる方もいますし、介助が必要な方もいます。
  • - 排便 — 腸の動きが弱くなるため、決まった時間に排便をうながすケア(排便コントロール)が必要になることがあります。

排泄のケアは、最初は気が重いと感じるご家族もいらっしゃいますが、正しい方法を覚えればルーティン化できます。訪問看護師から丁寧な指導を受けられますので、一人で悩まなくて大丈夫です。

体位変換(たいいへんかん)

脊髄損傷で感覚が鈍くなっている部分は、同じ姿勢で長時間いても痛みを感じにくくなります。そのため、知らないうちに皮膚が圧迫され、褥瘡(じょくそう)、いわゆる「床ずれ」ができてしまうことがあります。

これを防ぐために、定期的に体の向きや姿勢を変える「体位変換」が必要です。2〜3時間ごとに行うのが一般的です。

移乗(いじょう)の介助

ベッドから車いすへ、車いすからトイレへ、といった乗り移りの動作を「移乗」と呼びます。

下半身に麻痺がある場合、この移乗に介助が必要になることが多いです。ご本人の残っている力をうまく活かしながら、安全に移動するためのテクニックがあり、リハビリスタッフや介護スタッフから教えてもらえます。

入浴の介助

体の麻痺があると、一人で安全に入浴することが難しくなります。浴室の環境を整えたうえで、介助を受けながら入浴します。

シャワーチェア(入浴用のいす)やリフトなどの福祉用具を使うことで、ご本人もご家族も安全に入浴できるようになります。

外出の支援

車いすでの外出には、移動のサポートが必要です。通院、買い物、役所での手続きなど、外出先での介助も含めて支援を受けられます。

外出を継続することは、社会とのつながりを保ち、ご本人の気持ちの面でもとても大切なことです。

使える制度を知っておく

脊髄損傷の方やそのご家族が使える制度は、いくつかあります。「こんな制度があるなんて知らなかった」ということがないよう、主なものを紹介します。

重度訪問介護

障害者総合支援法に基づくサービスで、重い障害のある方が自宅で暮らすための長時間の生活支援を受けられます。

  • - 身体介護(排泄、入浴、食事、体位変換、移乗など)
  • - 家事援助(調理、洗濯、掃除、買い物)
  • - 見守りと付き添い
  • - 外出支援
  • - 医療的ケア(資格を持ったスタッフによるたんの吸引など)

一般的な訪問介護と違い、1日に長時間の利用が可能です。朝から夕方まで、あるいは夜間を含めた長時間の支援を受けることができます。

利用するためには、障害支援区分4以上の認定が必要です。お住まいの市区町村の障害福祉課に申請します。

障害者手帳

脊髄損傷による麻痺がある場合、身体障害者手帳の交付を受けられます。

障害者手帳があると、以下のようなさまざまな支援を受けることができます。

  • - 福祉用具(車いす、装具など)の給付や貸与
  • - 税金の減免
  • - 公共交通機関の割引
  • - 医療費の助成(自治体による)
  • - 自動車の改造費助成(自治体による)

手帳の等級は、障害の程度によって1級から6級まであります。申請は、お住まいの市区町村の障害福祉窓口で行います。主治医に「身体障害者診断書・意見書」を書いてもらう必要があります。

自立支援医療

脊髄損傷の治療やリハビリに関わる医療費の自己負担を軽減する制度です。通常3割の医療費の自己負担が、原則1割に軽減されます。

リハビリテーション科への通院や、合併症の治療など、継続的に医療を受ける必要がある方にとって、経済的な負担を和らげてくれる大切な制度です。

申請は市区町村の窓口で行います。

補装具費の支給

車いすや装具(体を支えるための器具)などの補装具の購入やレンタルにかかる費用の支給を受けられます。

脊髄損傷の方の場合、車いすは生活の必需品です。体に合った車いすを選ぶことは、快適な生活を送るうえでとても大切です。補装具費の支給制度を利用すれば、自己負担を抑えて適切な車いすを手に入れることができます。

住環境を整える

自宅で安全に暮らすためには、住環境の整備が重要です。特に車いすを使う場合、もとの住まいのままでは不便なことが多くあります。

バリアフリー化のポイント

  • - 段差の解消 — 玄関、廊下と部屋の境目、浴室の入口など、段差はできるだけなくします。スロープの設置や、段差をなくすリフォームを検討します。
  • - 廊下や出入口の幅 — 車いすが通れる幅(一般的に80cm以上)が必要です。ドアを引き戸に変えることで、スペースを有効に使えるようになります。
  • - 手すりの設置 — トイレ、浴室、廊下など、移動や立ち座りの場面で使う手すりは、安全を守るうえで欠かせません。
  • - 浴室の改修 — 車いすから移乗しやすいよう、浴室の段差をなくしたり、シャワーチェアを置けるスペースを確保したりします。
  • - トイレの改修 — 車いすで入れる広さの確保、手すりの設置、便座の高さの調整など。

住宅改修費の助成制度

こうした住宅改修には費用がかかりますが、以下のような助成制度を利用できます。

  • - 介護保険の住宅改修費 — 要介護認定を受けている方は、最大20万円(自己負担1〜3割)の住宅改修費が支給されます。ただし、脊髄損傷の方の年齢や状況によっては、介護保険ではなく障害福祉の制度を使うことになります。
  • - 障害者向けの住宅改修費助成 — 自治体によって独自の助成制度があります。金額や対象となる工事内容は自治体ごとに異なりますので、お住まいの市区町村の障害福祉課に確認してください。
  • - 日常生活用具の給付 — 特殊寝台(介護用ベッド)、入浴補助用具、移動用リフトなどを、自治体の制度を通じて給付・貸与してもらえる場合があります。

住宅改修については、リハビリの専門職(理学療法士や作業療法士)に相談すると、ご本人の体の状態に合わせた具体的なアドバイスをもらえます。退院前に、病院のスタッフと一緒に自宅を確認する「家屋調査」を行うこともあります。

リハビリとの併用

脊髄損傷の方にとって、リハビリテーションは長期にわたって続けていくものです。退院後も、外来や訪問でリハビリを継続することが大切です。

リハビリで取り組むこと

  • - 残っている機能の維持と強化 — 動かせる部分の筋力や関節の柔軟性を保つための運動
  • - 日常生活動作の練習 — 車いすの操作、移乗、着替え、食事などを、できるだけ自分で行うための練習
  • - 褥瘡の予防 — 体圧を分散する姿勢の取り方や、自分で体重を移動させる方法の習得
  • - 排泄管理の習得 — 自己導尿などの手技の練習

リハビリを受ける方法

  • - 外来リハビリ — リハビリテーション科のある病院やクリニックに通う方法です。専門のスタッフのもとで、充実した設備を使ってリハビリを行えます。
  • - 訪問リハビリ — 理学療法士や作業療法士がご自宅を訪問してリハビリを行います。実際の生活環境の中で練習できるため、日常生活に直結したリハビリが可能です。
  • - デイケア(通所リハビリ) — リハビリ施設に通い、他の利用者と一緒にリハビリを受けることもできます。

リハビリと重度訪問介護やその他の福祉サービスを組み合わせて利用することで、ご本人の生活の幅を広げていくことができます。

ご家族自身のことも大切に

脊髄損傷の家族を介護するということは、ご家族にとっても大きな生活の変化です。

突然の出来事に戸惑い、先が見えない不安を抱えるのは、ごく自然なことです。「自分がしっかりしなければ」と気を張りすぎてしまう方も少なくありません。

でも、ご家族が健康でいることが、ご本人の在宅生活を支える一番の土台です。

重度訪問介護などの制度を活用して、介護をスタッフと分担すること。自分の時間を確保すること。困ったときに相談できる先を持っておくこと。これらは決して「手を抜く」ことではなく、長く続けていくための知恵です。

まず相談するところから

退院が近づいてきて、「在宅でやっていけるのだろうか」と不安な方。あるいは、すでに在宅介護を始めているけれど、もっと支援を増やしたいと感じている方。

まずは、今の状況やお困りのことを誰かに話してみてください。制度の全体像を一人で理解する必要はありません。相談することで、使える制度や具体的な進め方が見えてきます

ノベラクトケア(株式会社Noveract)は、埼玉県川越市に本社、さいたま市西区に事業所を置き、重度訪問介護を提供しています。全スタッフが医療的ケアの資格を保有しており、24時間365日の対応が可能です。

「脊髄損傷の家族がもうすぐ退院するのですが、在宅介護をどう進めたらいいですか?」――そんなご相談からで大丈夫です。お気軽にお電話ください。

電話番号:048-871-6572

ノベラクトケア

ノベラクトケア(株式会社Noveract)

埼玉県川越市を拠点に、24時間365日体制で重度訪問介護を提供。全スタッフが医療的ケア資格を保有し、専門性の高い在宅ケアをお届けしています。

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