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お金の話

重度心身障害者医療費助成(マル福)とは?埼玉県の対象・自己負担・申請をやさしく解説

「手帳を持っているけど、病院代は結局いくらかかるの?」——重度の障害があるご家族の通院・入院が続くと、医療費の負担がじわじわと家計を圧迫します。実は埼玉県には、その窓口負担をほぼゼロに近づける制度があります。

先に、要点をまとめます。

  • 身体障害者手帳1〜3級、療育手帳マルA・A・B、精神障害者保健福祉手帳1級(2級は令和8年1月から対象拡大)などをお持ちの方は、重度心身障害者医療費助成制度(通称マル福)により、病院・薬局での自己負担分の助成を受けられます
  • 埼玉県内の医療機関では、登録後は原則窓口で支払いなし(自治体により運用が一部異なります)
  • 特別障害者手当に準じた所得制限があるため、対象になるかは世帯の所得によって変わります

なお、この制度には「介護サービスの費用制度と混同しやすいポイント」が1つあります。記事の後半で、重度訪問介護の自己負担上限制度との違いを整理します。

重度心身障害者医療費助成(マル福)の対象確認フロー。手帳の等級を確認→所得を確認→市区町村で登録申請の3ステップと、介護サービス費用の負担軽減制度との違いを示す図。
重度心身障害者医療費助成(マル福)の対象確認フロー。手帳の等級を確認→所得を確認→市区町村で登録申請の3ステップと、介護サービス費用の負担軽減制度との違いを示す図。

マル福とはどんな制度?

重度の障害がある方の、病院・薬局での窓口負担分を埼玉県と市町村が助成する制度です。正式名称は「重度心身障害者医療費助成制度」で、通称「マル福」と呼ばれます。

埼玉県の案内によると、対象は健康保険に加入している埼玉県内在住の方のうち、身体障害者手帳1〜3級、療育手帳マルA・A・B、精神障害者保健福祉手帳1級(精神病床への入院費を除く)、後期高齢者医療制度の障害認定を受けた方のいずれかに該当する場合です(出典: 埼玉県「重度心身障害者医療費助成制度」)。さらに埼玉県は令和8年1月から、精神障害者保健福祉手帳2級を持ち自立支援医療(精神通院医療)を受給している方にも対象を拡大しました(出典: 埼玉県「重度心身障害者医療費助成制度(精神手帳2級の方への対象拡大)」)。

助成の中身は、健康保険の各法律にもとづく一部負担金(医療費・薬剤費・治療用装具などの窓口負担分)です。高額療養費など他の保険給付がある場合は、その分を差し引いた金額が助成されます(出典: 埼玉県「重度心身障害者医療費助成制度」)。入院時の差額ベッド代や、予防接種など保険が適用されない費用は対象外です。

重度訪問介護のようなサービス利用料には、別に月ごとの自己負担上限があります。介護サービスの費用が不安な方へ|自己負担0円になるケースも解説で解説しているとおり、こちらは障害者総合支援法にもとづく別の制度です。マル福は「医療費」、サービス利用料の上限は「介護の費用」と、対象がはっきり分かれている点を押さえておくと、窓口での話がスムーズになります。

どんな手帳を持っていれば対象になる?

身体障害者手帳1〜3級、療育手帳マルA・A・B、精神障害者保健福祉手帳1級・2級(2級は要件あり)が対象です。65歳以上で後期高齢者医療の障害認定を受けた方も含まれます。

具体的には、次のいずれかに該当する方が対象です(出典: 埼玉県「重度心身障害者医療費助成制度」、川越市「重度心身障害者医療費支給制度」)。

  • 身体障害者手帳1〜3級をお持ちの方(自治体によっては4級を経過措置として助成する場合もあります)
  • 療育手帳マルA・A・Bをお持ちの方
  • 精神障害者保健福祉手帳1級をお持ちの方(精神病床への入院費は対象外)
  • 精神障害者保健福祉手帳2級をお持ちで、自立支援医療(精神通院医療)を受給している方(令和8年1月からの対象拡大分)
  • 後期高齢者医療制度の障害認定を受けた65歳以上の方(平成27年4月1日以降に65歳以上で新たに該当した方は対象外の場合があります)

ALSや筋ジストロフィー、頸髄損傷などで身体障害者手帳1・2級の交付を受けている方は、この時点で対象に該当する可能性が高いといえます。重度訪問介護を利用されているご家庭の多くは、実はすでにこの制度の対象条件を満たしていることも少なくありません。手帳を取得した際に案内を見落としていないか、一度確認してみる価値があります。

所得制限はどのくらい?

特別障害者手当に準じた所得制限が設けられています。目安は本人の前年所得375万8,000円(扶養親族1人につき38万円加算)です。

埼玉県の案内では「特別障害者手当に準じた所得制限」があると説明されており(出典: 埼玉県「重度心身障害者医療費助成制度」)、川越市の案内ではより具体的に、登録者本人の前年所得が375万8,000円を超えると支給が停止される仕組みが示されています。扶養親族の人数に応じて基準額が加算され、扶養親族がいる場合は1人につき38万円が上乗せされます。給与収入のみのケースでは、目安としておよそ537万2,000円までが対象の範囲に入るとされています(出典: 川越市「重度心身障害者医療費支給制度」)。

この所得制限の基準は、特別障害者手当とは?月額30,450円の対象・申請方法と埼玉県の在宅手当をやさしく解説で解説した特別障害者手当の所得制限と同じ考え方です。特別障害者手当の対象になるかどうかを窓口で確認するときに、マル福の対象になるかもあわせて聞いておくと、二度手間になりません。

自己負担はどのくらい軽くなる?

埼玉県内の医療機関では、登録後は原則として窓口での支払いが不要になります。県外で受診した場合は、いったん立て替えて後日払い戻しを受ける形になります。

さいたま市の案内では、健康保険各法の規定による一部負担金(窓口負担分)が全額助成の対象とされ、高額療養費や差額ベッド代など保険給付の対象外となる費用は除かれます(出典: さいたま市「心身障害者医療費支給」)。県内の医療機関を受診する場合は、登録時に交付される受給者証を提示することで、窓口での支払いそのものが発生しない扱いになります。

自治体によって細部の運用は異なります。たとえば川越市では、県内医療機関の窓口対応について「1か月の一部負担金合計が21,000円未満の場合は無料」とされ、これを超える場合や県外受診時は、いったん医療機関に支払ったあとで市に請求して払い戻しを受ける「償還払い」になります(出典: 川越市「重度心身障害者医療費支給制度」)。お住まいの市区町村によって具体的な取り扱いが違うため、登録時に窓口で流れを確認しておくと安心です。

福祉用具や日常生活用具にも別の助成制度があります。医療費だけでなく介護用品の負担も気になる方は、介護用品・福祉用具って何がもらえるの?費用を抑える助成制度まとめもあわせてご覧ください。

申請はどこで、どんな流れでする?

お住まいの市区町村の障害福祉課または国保年金課の窓口で、受給者登録の手続きをします。

おおまかな流れは次の4ステップです。

  1. お住まいの市区町村の担当窓口に相談する。障害福祉課や国保年金課など、自治体によって担当課の名称が異なります
  2. 必要書類をそろえる。障害者手帳、健康保険証、振込先の通帳、マイナンバーカード(任意)などが目安です。転入者は所得証明書が必要になる場合があります
  3. 窓口で受給者登録の申請をする。さいたま市の案内では、区の保険年金課で手続きするとされています(出典: さいたま市「心身障害者医療費支給」)
  4. 登録翌月から助成が開始される。以降は医療機関の窓口で受給者証を提示することで助成が適用されます(自治体・受診先により運用が異なります)

障害福祉サービス全体の申請の流れははじめての障害福祉サービス|申請の流れを5ステップでわかりやすくで解説しています。重度訪問介護の申請窓口と、マル福の申請窓口は同じ市区町村の庁舎内にあることが多いため、手帳取得のタイミングでまとめて相談すると効率的です。

見落としやすい注意点はある?

「対象のはずなのに助成されなかった」というケースの多くは、登録手続きの前に受診した費用が対象外だったか、他の医療費助成と重複していたことが原因です。

窓口で相談を受けていると、次のようなつまずきがよく聞かれます。

  • 登録前の受診分はさかのぼれない。手帳を取得しても、市区町村での受給者登録が済んでいなければ助成は始まりません。手帳交付の通知が届いたら、できるだけ早く登録手続きに進むことが、助成を受け損ねないための一番のポイントです
  • 他の医療費助成制度との重複確認を忘れる。乳幼児医療費助成やひとり親家庭等医療費助成など、他の自治体独自の医療費助成を受けている場合、制度間の優先順位や併給の可否が自治体ごとに定められています。複数の対象に当てはまりそうなときは、必ず窓口で整理してもらいましょう
  • 転居・65歳到達で扱いが変わる。埼玉県外から転入した場合は所得証明書の提出が必要になったり、平成27年4月1日以降に65歳以上で新たに障害認定を受けた方は対象外とされる場合があります。ライフイベントのタイミングでは、対象条件が変わっていないか窓口で確認し直すことをおすすめします
  • 県外の医療機関を受診したときの手続きを後回しにしない。里帰りや専門病院への通院で県外を受診した場合は償還払いになるため、領収書を保管し忘れると払い戻しを申請できなくなります。受診したその場で領収書をひとまとめにしておく習慣が、後々の手間を減らします

いずれも「知っていれば防げた」というケースがほとんどです。手帳を取得したタイミング、引っ越しをしたタイミング、65歳を迎えるタイミングの3つは、制度の対象条件が変わりやすい節目として意識しておくと安心です。

まとめ|医療費の心配を、制度でひとつ減らす

この記事で持ち帰っていただきたいのは、次の3点です。

  • 身体障害者手帳1〜3級などをお持ちなら、マル福(重度心身障害者医療費助成制度)で病院・薬局の窓口負担がほぼ0円になる可能性があること
  • 所得制限は特別障害者手当と同じ基準(目安375万8,000円)で判定されるため、両方の制度をセットで窓口確認できること
  • マル福は「医療費」、重度訪問介護の自己負担上限は「介護サービス費用」という別の制度であり、両方を組み合わせて家計の負担を減らせること

在宅でのケアが続くと、通院や薬の費用は毎月確実に発生する支出になります。マル福は、その支出の多くを軽くしてくれる可能性がある制度です。まだ登録していない方は、まずは今日、ご家族の障害者手帳の等級と、直近でよく通う病院・薬局の名前を1枚のメモに書き出してみてください。窓口に相談するとき、この2つが手元にあるだけで話がぐっと具体的に進みます。

ノベラクトケア(株式会社Noveract)は、埼玉県川越市を拠点に、さいたま市西区にも事業所を構え、24時間365日体制で重度訪問介護を提供しています。全スタッフが医療的ケア(たんの吸引・経管栄養)の資格を保有し、川越市・さいたま市をはじめ埼玉県全域のご自宅へ伺っています。

医療費助成の窓口と、重度訪問介護の申請窓口は、どちらも市区町村の障害福祉関連の窓口です。「制度が多すぎて、何から確認すればいいか分からない」という段階のご相談も歓迎です。お電話(048-871-6572)またはお問い合わせフォームから、お気軽に無料相談をお寄せください。

よくある質問

マル福はどんな障害者手帳があれば対象になりますか?

身体障害者手帳1〜3級、療育手帳マルA・A・B、精神障害者保健福祉手帳1級の方が対象です。精神障害者保健福祉手帳2級は、自立支援医療(精神通院医療)を受給している場合に令和8年1月から対象に加わりました。自治体により身体障害者手帳4級を経過措置として助成する場合もあります。

所得制限はどのくらいですか?

特別障害者手当に準じた所得制限があります。川越市の案内では、登録者本人の前年所得375万8,000円(扶養親族1人につき38万円加算)が目安とされています。正確な基準額はお住まいの市区町村にご確認ください。

病院の窓口で支払いは必要ですか?

埼玉県内の医療機関では、登録後は原則として窓口負担が不要になります。ただし川越市のように「1か月の一部負担金合計が一定額未満なら無料」という運用の自治体もあり、県外受診時は立て替えて後日払い戻しを受ける償還払いになります。

重度訪問介護の費用とマル福は何が違いますか?

マル福は病院・薬局での医療費の自己負担分を助成する制度です。一方、重度訪問介護など障害福祉サービスの利用料には、障害者総合支援法にもとづく別の月額自己負担上限があります。対象となる費用の種類も、根拠となる法律も異なる別々の制度です。

どこで申請すればいいですか?

お住まいの市区町村の障害福祉課または国保年金課の窓口で受給者登録を申請します。障害者手帳・健康保険証・振込先の通帳などが必要です。登録した翌月から助成が始まります。

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