朝の身支度、昼の食事、夜の就寝前。家族の手が足りない時間帯に分けてヘルパーに来てもらいたいのに、「2時間空けないといけない決まりがある」と聞いて、組み方に迷っていませんか。ヘルパーの時間の数え方は、使うサービスによって決まりが違います。
先に、要点をまとめます。
- いわゆる「2時間ルール」は、障害福祉の居宅介護(ホームヘルプ)を1日に何回か使うとき、原則としておおむね2時間以上の間隔を空けるという決まりです。介護保険の訪問介護にも同じ趣旨の決まりがあります
- 重度訪問介護には、間隔を空ける決まりはありません。同じ事業所が1日に何回か入った場合は、その日(0時〜24時)の時間を通算して数えます
- 1か月に使える時間の総量は、市区町村が決める支給量です。その範囲で、どの時間帯に何時間入るかは、本人・家族の希望と事業所の受入れで組み立てます
制度の内容は、厚生労働省の通知「指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成18年10月31日障発第1031001号。最終改正は令和8年5月28日こ支障第148号・障発0528第1号)と、その内容を利用者向けに整理した吹田市「障がい福祉サービス支給決定ガイドライン(令和8年4月)」で、2026年11月3日に確認したものです。支給量や組み方の細かな扱いは、お住まいの市区町村ごとに確認が必要です。
「2時間ルール」とは、何のための決まり?
居宅介護を1日に何回か使うとき、原則としておおむね2時間以上の間隔を空けるという報酬の決まりです。2時間未満で続けて入った場合は、前後を合わせて1回として数えます。
居宅介護は、食事や入浴など決まった介助のために短い時間訪問するサービスです。短い時間の訪問を1日に何回も行えるように、30分未満などの短時間ほど単価が高く設定されています。そのため、1回の訪問を細かく分けて何回分も請求することがないよう、厚生労働省の通知で「1日に居宅介護を複数回算定する場合にあっては、概ね2時間以上の間隔を空けなければならない」と定められています。
吹田市のガイドラインは、この決まりを次のような例で説明しています。
- 13時〜14時と16時〜17時に身体介護を受けた場合:間隔が2時間あるので、1時間×2回として数えます
- 13時〜14時と15時〜16時に身体介護を受けた場合:間隔が1時間なので、前後を合わせて2時間×1回として数えます
ただし、通知では例外も認められています。身体の状況などにより短い間隔で短時間の訪問を何度も行う必要がある場合や、別の事業者が提供する居宅介護との間隔が2時間未満になる場合です。吹田市のガイドラインでは、身体介護と家事援助のように別の種類を必要に応じて使う場合、乗降介助を使う場合なども、2時間未満で回数を分けられる例として挙げています。
65歳以上の方などが介護保険の訪問介護を使う場合も、厚生労働省の通知(平成12年老企第36号)で、前回の訪問からおおむね2時間未満の間隔で行われた訪問介護は所要時間を合算する、とされています。65歳を迎えたときの障害福祉と介護保険の関係は、65歳になったら重度訪問介護は使えなくなる?介護保険への移行と継続のしくみで整理しています。
重度訪問介護にも、2時間ルールはある?
ありません。同じ事業所が1日に何回か重度訪問介護に入った場合は、その日の0時から24時までの時間を通算して数えます。
重度訪問介護は、同じ場所に長い時間とどまって、介助と見守りを続けて行うことを前提にしたサービスです。厚生労働省の通知では、同一の事業者が1日に複数回の重度訪問介護を行う場合は「1日分の所要時間を通算して算定する」とされ、その1日は0時から24時までを指すと定めています。吹田市のガイドラインも、居宅介護のように2時間の間隔を空けて1回ごとのサービスを区切る必要はない、と案内しています。
たとえば、同じ事業所が7時〜10時、13時〜16時、19時〜24時の3回に分けて入った日は、3時間+3時間+5時間で、その日の通算は11時間になります。
1日の中に複数の事業所が入る場合は、事業所ごとにその日の時間を通算します。日中はA事業所、夜間はB事業所というように分担しても、それぞれの事業所の中で時間を合計する形です。
居宅介護と重度訪問介護のそもそもの違い(対象になる方や、見守りを含めて長い時間いられるかどうか)は、訪問介護の時間が足りないときは?重度訪問介護との違いと長時間使える条件・費用で解説しています。
夜をまたぐ支援は、どちらの日の時間になる?
0時を過ぎた分は、翌日の時間として数え直します。通知では、翌日の0時以降の分は所要時間1時間から改めて通算するとされています。
22時から翌朝7時までの夜間の支援のように、0時をまたいで入ることは重度訪問介護では珍しくありません。この場合、0時までの分は前の日の通算に、0時からの分は次の日の通算に入ります。前の日に日中の支援もあれば、その時間と夜の0時までの時間を合わせた合計が、前の日の時間になります。
細かく言うと、時間は30分刻みで区切るため、0時を含む30分の枠のうち0時を過ぎた端数は、前の日の分に入れます。通知の例では、22時45分から翌朝6時45分までの8時間の支援は、22時45分〜0時15分の1時間30分を1日目、0時15分〜6時45分の6時間30分を2日目として数えます。
家族が気にする必要があるのは、報酬の数え方そのものより、支給量(1か月に使える時間数)の中で、夜間の時間をどれだけ確保するかです。夜の時間帯の支援が必要な理由を市区町村にどう伝えるかは、埼玉で夜間・夜通し対応の重度訪問介護をお探しの方へもあわせてご覧ください。
短い時間だけ来てもらうことはできる?
報酬の区分でいちばん短いのは「所要時間1時間未満」で、その場合もおおむね40分以上の提供が必要です。支給決定は1日3時間を超える時間が基本ですが、3時間未満でも決定できる場合があります。
重度訪問介護は長時間の支援を前提にしているため、厚生労働省の通知では1日につき3時間を超える支給決定を基本とし、「所要時間1時間未満」で算定する場合の所要時間はおおむね40分以上としています。吹田市のガイドラインも、1日3時間以上の支給決定を基本としています。そのうえで、3時間未満の利用でも、その内容が身体介護・家事援助・見守りを含む包括的な支援であれば、重度訪問介護で決定できるとしています。
一方で、必要なのが朝と夕方の短い身体介護だけ、という生活であれば、重度訪問介護の対象になる状態の方でも、居宅介護で決定するほうが合う場合があります。吹田市のガイドラインも、重度訪問介護の要件を満たしているからといって必ず重度訪問介護で決定するわけではなく、支援の必要に応じて判断すると説明しています。どちらで決定するかは市区町村が判断するため、「どの時間帯に、どんな介助と見守りが必要か」を具体的に伝えることが出発点になります。
居宅介護と重度訪問介護は、組み合わせて使える?
同じ事業所が、重度訪問介護に加えて居宅介護を算定することはできません。その事業所が希望の時間帯に入れず、別の事業者が身体介護などを行う場合は例外とされています。
通知では、重度訪問介護は身体介護や家事援助が断続的に行われることをまとめて評価したサービスなので、同じ事業者が重ねて居宅介護を算定することはできない、と定めています。ただし、利用者が希望する時間帯にその事業所がサービスを提供できず、別の事業者が身体介護などを提供する場合は、この限りではないとしています。
実際にどこまで組み合わせを認めるかは、市区町村の支給決定の運用によって違います。たとえば吹田市のガイドラインでは、重度訪問介護が必要な方はヘルパーの支援を原則としてすべて重度訪問介護で行い、居宅介護との併用はできない、と定めています。埼玉県内の市町村で組み合わせを考えている場合は、申請や更新の前に、お住まいの市区町村の障害福祉窓口で扱いを確認してください。
決まった時間数を、どう組み立てればいい?
支給量は30分単位で、1か月の時間数として決まります。その範囲で、家族の手が足りない時間帯から順に並べ、事業所の受入れと突き合わせて組み立てます。
通知では、事業所が重度訪問介護計画を作るときは、支給量が30分単位で決まることと、1日分の時間を通算して数えることを踏まえ、決まった時間数が生かされるよう利用者の希望を十分に聞くことが大切だとしています。つまり、1日に何回かに分けて入る組み方も、制度上は前提に入っています。
組み立てるときに確認する相手は、内容によって分かれます。
| 確認したいこと | 主な確認先 |
|---|---|
| 1か月に使える時間数(支給量)と、増やすための相談 | お住まいの市区町村の障害福祉窓口 |
| 1日の時間帯の割り振り、ほかのサービスとの組み合わせ | 相談支援専門員(サービス等利用計画) |
| 希望の時間帯(夜間・早朝を含む)に入れるか | 重度訪問介護の事業所 |
| 複数の事業所で時間帯を分担するときの調整 | 相談支援専門員と各事業所 |
検討例:日中は家族が仕事に出ていて、夜は母親が一人でたんの吸引と体位変換をしている場合。①家族がいない日中の時間帯と、母親が眠れない夜間の時間帯を書き出す、②それぞれに必要な介助(食事、排せつ、吸引、見守り)を時間帯ごとに並べる、③合計の時間数と今の支給量を比べ、足りない分を市区町村に相談する、④時間帯ごとに事業所が入れるかを確認する、という順番で進めると、話し合いが具体的になります。以下は進め方を示すための例で、当事業所の利用者の事例ではありません。ご家族の生活の時間帯に置き換えて確認してください。
支給量そのものの決まり方や、足りないと感じたときの相談の仕方は、重度訪問介護の「支給時間」はどう決まる?足りないと感じたときの考え方で詳しく解説しています。サービス等利用計画を作る相談支援専門員の役割は、相談支援専門員って何をしてくれる人?サービス等利用計画とセルフプランの違いを参考にしてください。
まとめ
この記事で確認できるのは、次の3点です。
- 「2時間ルール」は居宅介護(と介護保険の訪問介護)の数え方の決まりで、重度訪問介護には当てはまらない
- 重度訪問介護は、同じ事業所の1日(0時〜24時)の時間を通算して数える。0時を過ぎた分は翌日の時間になり、複数の事業所が入る日は事業所ごとに通算する
- 組み立ての順番は、①家族の手が足りない時間帯を書き出す、②支給量と比べる、③事業所の受入れを確認する
1日に何回かに分けて来てもらう組み方は、重度訪問介護では制度上の妨げがありません。まずは、ご家族の1日の中で「介助が必要なのに人がいない時間帯」を書き出してみてください。それが、市区町村や事業所との話し合いでいちばん役に立つ材料になります。
よくある質問
重度訪問介護にも2時間ルールはありますか?
ありません。2時間以上の間隔を空ける決まりは、居宅介護(と介護保険の訪問介護)の算定の決まりです。重度訪問介護は、同じ事業所が1日に何回か入った場合、その日の0時から24時までの時間を通算して数えます。
1日に3回に分けて重度訪問介護を使うと、時間はどう数えますか?
同じ事業所であれば、3回分の時間を合計してその日の時間として数えます。たとえば7時〜10時、13時〜16時、19時〜24時なら、通算で11時間です。複数の事業所が入る場合は、事業所ごとに合計します。
夜をまたいで支援を受けたら、どちらの日の時間になりますか?
0時までの分は前の日、0時からの分は次の日の時間として数えます。厚生労働省の通知では、翌日の0時以降の分は所要時間1時間から改めて通算するとされています。
重度訪問介護を1時間だけ使うことはできますか?
報酬の区分でいちばん短いのは「所要時間1時間未満」で、その場合もおおむね40分以上の提供が必要です。ただし重度訪問介護は、1日3時間を超える支給決定が基本とされています。短い身体介護だけが必要な場合は、居宅介護で決定されることもあるため、お住まいの市区町村に確認してください。

