市区町村から届いた「障害福祉サービス受給者証」。重度訪問介護を使い始めたご家族や、これから事業所を探すご家族にとって、どの欄をどう読めばいいのか、いつまで使えるのかが分かりにくい書類です。有効期間を過ぎると、その受給者証ではサービス費用の公費負担を受けられません。更新の申請が遅れると、ヘルパーの支援が途切れるおそれがあります。

先に、要点をまとめます。

  • 受給者証には、障害支援区分・支給量(1か月に使える時間)・支給決定の有効期間・負担上限月額などが書かれています。載せる事項は障害者総合支援法施行規則第14条で決まっています
  • 重度訪問介護の支給決定の有効期間は、最長で12か月(決定した月の残りの日数を除く)です。期間は自動では延びないため、終わる前に市区町村へ更新の申請をします
  • 有効期間の途中でも、状態が変わって時間が足りなくなったら支給量の変更を申請できます。更新と変更は別の手続きです

制度の内容は、e-Gov法令検索で障害者総合支援法・同法施行規則・指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)を、あわせて入間市「障害者のしおり(令和8年8月1日版)」を、2026年11月8日に確認したものです。受給者証の様式、更新の案内が届く時期や方法は市区町村ごとに違うため、お住まいの障害福祉窓口で確認してください。

受給者証には、何が書いてある?

本人の氏名と受給者証番号のほか、障害支援区分、支給量、支給決定の有効期間、負担上限月額が書かれています。事業所と契約すると、事業所名と契約した時間数も書き込まれます。

受給者証に載せる事項は、障害者総合支援法施行規則第14条で決まっています。様式は市区町村ごとに違い、冊子型や折りたたみ型がありますが、次の欄はどの市区町村の受給者証にもあります。

欄書かれていることご家族が見るところ
氏名・居住地・生年月日支給決定を受けた本人引っ越しや氏名の変更があったら届出が必要
交付年月日・受給者証番号発行した日と番号事業所や相談支援専門員とのやりとりで使う番号
支給量サービスの種類と、1か月あたりの量重度訪問介護が「月○時間」で決まっているか
支給決定の有効期間いつからいつまで使えるか終わりの月から逆算して、更新の準備を始める
障害支援区分区分1〜6重度訪問介護は原則として区分4以上が対象
負担上限月額1か月の自己負担の上限0円・9,300円・37,200円のどれになっているか

このほかに、事業所が書き込む欄があります。事業所は重度訪問介護を提供するとき、サービスの内容と、契約した時間数(契約支給量)を受給者証に記載し、市区町村に報告します(指定障害福祉サービス基準第10条。重度訪問介護には同基準第43条で準用)。契約の内容が変わったときも、同じように書き直して報告します。

「支給量」と「契約支給量」は、どう違う?

支給量は、市区町村が決めた1か月の上限の時間です。契約支給量は、その中から各事業所が受け持つ時間です。複数の事業所の契約支給量を合わせても、支給量を超えることはできません。

支給量は1か月を単位に決まります(障害者総合支援法第22条第7項、同法施行規則第13条)。たとえば受給者証に「重度訪問介護 月300時間」とあれば、その月に使える合計が300時間です(数字は読み方を示すための例です)。

日中はA事業所、夜間はB事業所と分けて使う場合は、A事業所の契約支給量とB事業所の契約支給量を足した時間が、300時間以内に収まっている必要があります(指定障害福祉サービス基準第10条第2項)。受給者証の事業所記入欄を見ると、どの事業所が何時間を受け持っているかが分かります。

1日の中で時間をどう数えるか(何回かに分けて来てもらうときの通算や、0時をまたぐ夜間の扱い)は、重度訪問介護に2時間ルールはある?居宅介護との違いと1日の時間の数え方で説明しています。支給量そのものがどう決まるかは、重度訪問介護の「支給時間」はどう決まる?足りないと感じたときの考え方を参考にしてください。

支給決定の有効期間は、どう数える?

重度訪問介護では、支給決定をした日からその月の末日までの期間に、1か月から12か月の範囲で市区町村が決めた月数を足した期間です。月の1日に決定した場合は、決めた月数だけになります。

障害者総合支援法第23条は、支給決定は有効期間の中に限って効力があると定めています。その期間は施行規則第15条で、サービスの種類ごとに決まっています。

サービス市区町村が決める月数の範囲
居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護・短期入所など1か月〜12か月
療養介護・生活介護・施設入所支援・共同生活援助など1か月〜36か月

計算例:4月10日に、重度訪問介護を12か月で支給決定した場合、有効期間は4月10日から翌年の4月30日までです。4月1日に決定した場合は、4月1日から翌年の3月31日までになります。

生活介護と重度訪問介護のように、種類の違うサービスを一緒に使っている方は、サービスごとに有効期間の終わりが違うことがあります。受給者証の有効期間の欄は、サービスごとに確認してください。

障害支援区分にも、支給決定とは別に有効期間があります。区分の有効期間は、認定結果の通知に書かれています。更新の時期に区分の有効期間も切れる場合は、認定調査をもう一度受けます。調査員が生活の様子を聞き取って記入する書類の中身は、概況調査票の様式と記入例で紹介しています。調査で聞かれる内容は、障害支援区分の認定調査で聞かれる80項目|家族が知っておきたい答え方の基準で整理しています。

更新の手続きは、いつ・どこで・何をする?

有効期間が終わる前に、お住まいの市区町村の障害福祉窓口へ支給の申請を出し直します。期間は自動では延びないため、終わりの月をご家族・相談支援専門員・事業所で共有しておくと、申請が遅れにくくなります。

更新の流れは、次の順番です。

  1. 受給者証で、有効期間の終わりの月を確かめる(サービスごと、障害支援区分の期間も)
  2. 相談支援専門員に連絡する:モニタリングの結果をもとに、更新に向けたサービス等利用計画案を作ってもらいます。セルフプランの方は、ご家族が計画案を用意します
  3. 市区町村に申請書を出す:入間市のように、新規・変更・更新で同じ申請書の書式を使う市もあります(入間市「サービス等支給申請書 書式一式」)。毎年、負担上限月額を決めるための所得の書類の提出も求められます(施行規則第7条第3項。市区町村が公簿で確認できる場合は省略されます)
  4. 区分の有効期間も切れる場合は、認定調査を受ける
  5. 支給決定の通知と新しい受給者証を受け取り、事業所に見せる
受給者証の有効期間と更新の流れを5つのステップで示した図。1支給決定と受給者証の交付、2事業所と契約し契約支給量を受給者証に記入、3利用中は相談支援専門員がモニタリング(重度訪問介護を使う方は3か月ごとが国の基準の目安)、4有効期間が終わる前に市区町村へ更新の申請(区分も切れる場合は認定調査)、5新しい受給者証を事業所に提示。期間の途中で時間が足りなくなったときは、更新を待たずに支給量の変更を申請できる。
受給者証の有効期間と更新の流れを5つのステップで示した図。1支給決定と受給者証の交付、2事業所と契約し契約支給量を受給者証に記入、3利用中は相談支援専門員がモニタリング(重度訪問介護を使う方は3か月ごとが国の基準の目安)、4有効期間が終わる前に市区町村へ更新の申請(区分も切れる場合は認定調査)、5新しい受給者証を事業所に提示。期間の途中で時間が足りなくなったときは、更新を待たずに支給量の変更を申請できる。

事業所にも、更新を支える役割があります。指定障害福祉サービス基準第15条第2項は、事業所が支給決定に通常かかる期間を考えて、有効期間の終了に伴う申請に必要な援助をするよう定めています。書類の準備で分からないことがあれば、利用している事業所にも声をかけてください。

モニタリング(サービスの使い方の見直し)の頻度は、施行規則第6条の16で目安が決まっています。重度訪問介護を使う方は3か月ごとを目安に市区町村が期間を決めます。サービスの種類や量が大きく変わった直後の3か月や、単身などで自分で事業所との連絡調整をするのが難しい方は、毎月が目安です。モニタリングでの話し合いが、そのまま更新の計画案の材料になります。相談支援専門員の役割は、相談支援専門員って何をしてくれる人?サービス等利用計画とセルフプランの違いで紹介しています。

期間の途中で時間が足りなくなったら、どうする?

有効期間の途中でも、支給決定の変更(支給量を増やすなど)を申請できます。申請書には、心身の状況の変化など、変更が必要になった理由を書きます。

障害者総合支援法第24条で、支給量などを変える必要があるときは、市区町村に変更の申請ができると定められています。施行規則第17条では、申請書に「心身の状況の変化その他の当該申請を行う原因となった事由」を書くことになっています。たとえば病気が進んで夜間の吸引の回数が増えた、介護していた家族が入院した、といった変化です。変更が決まると、市区町村は受給者証に新しい内容を書き込んで返します(同法第24条第6項)。

状態が大きく変わり、障害支援区分が実態と合わなくなったときは、区分の変更の認定が行われることもあります(同法第24条第4項)。更新を待たずに、変わった時点で窓口か相談支援専門員に相談するのが近道です。

引っ越し・紛失・負担額が変わったときは?

住所や世帯の状況が変わったときは届出、受給者証をなくしたときは再交付の申請をします。別の市区町村へ引っ越すときは、転入先で改めて申請が必要です。

  • 同じ市区町村の中での住所変更・氏名の変更:申請内容の変更の届出を、受給者証を添えて出します
  • なくした・破れた:再交付を申請します(施行規則第23条)。さいたま市のように、紛失・破損時の申請をオンラインで受け付けている市もあります(さいたま市「支援課(障害福祉係)に係る手続きの電子申請について」)
  • 別の市区町村へ引っ越す:支給決定は住んでいる市区町村が行います(障害者総合支援法第19条第2項)。転出すると元の市区町村の支給決定は取り消されることがあるため(同法第25条第1項第2号)、転入先の窓口で新たに申請します。支援が途切れないよう、引っ越しの日が決まった段階で両方の窓口に相談しておくと安心です

負担上限月額は、世帯の所得で4つに分かれています。入間市「障害者のしおり(令和8年8月1日版)」では、次のように案内されています。

区分世帯の状況負担上限月額
生活保護生活保護を受けている世帯0円
低所得市町村民税が非課税の世帯0円
一般1市町村民税の課税世帯で、所得割16万円未満(入所施設利用者(20歳以上)・グループホーム利用者を除く)9,300円
一般2上記以外の課税世帯37,200円

18歳以上の方の場合、所得を判断する世帯の範囲は、本人とその配偶者です。親と同居していても、親の所得は含みません。費用の考え方は、介護サービスの費用が不安な方へ|自己負担0円になるケースも解説でも説明しています。

事業所を探すとき、受給者証はどう使う?

事業所は、受給者証で支給決定の有無・有効期間・支給量を確かめてから契約します。サービスを受けるときは、受給者証を事業所に見せる決まりです。

指定障害福祉サービス基準第14条は、事業所が利用者の受給者証で支給決定の有無・有効期間・支給量などを確かめると定めています。施行規則第26条では、利用者はサービスを受けるたびに受給者証を事業所に提示することになっています。新しい受給者証が届いたら、利用している事業所にも見せてください。

事業所を選ぶときの流れや、複数の事業所を使う・事業所を変えるときの手順は、重度訪問介護の事業所はどう選ぶ?契約の流れと複数利用・変更のしかたにまとめています。

埼玉県内で重度訪問介護の事業所を探している方は、お問い合わせから、お住まいの市区町村と、受給者証に書かれた支給量、来てほしい時間帯をお知らせください。受給者証がまだない方も、申請の前の段階からご相談いただけます。受入れができるかどうかは、地域と時間帯を伺ってからお返事します。支給量や有効期間の決定は市区町村が行うため、その内容は窓口で確認してください。

まとめ

この記事で確認できるのは、次の3点です。

  • 受給者証で最初に見るのは、支給量・支給決定の有効期間・負担上限月額の3つ。事業所が書き込む契約支給量の合計は、支給量を超えられない
  • 重度訪問介護の有効期間は、決定した月の残りの日数+最長12か月。自動では延びないため、終わる前に市区町村へ更新の申請をする
  • 期間の途中で時間が足りなくなったら、更新を待たずに支給量の変更を申請できる。引っ越すときは転入先で改めて申請する

まずは、お手元の受給者証で、重度訪問介護の有効期間の終わりの月を確かめ、カレンダーに書き込んでみてください。その月を相談支援専門員と事業所にも伝えておくと、更新の準備を早めに始められます。

よくある質問

受給者証の有効期間が切れたら、どうなりますか?

支給決定は有効期間の中に限って効力があります(障害者総合支援法第23条)。期間を過ぎると、その受給者証ではサービス費用の公費負担を受けられません。支援が途切れないよう、期間が終わる前に市区町村へ更新の申請をしてください。

更新のときも、認定調査を受けますか?

障害支援区分の有効期間も同じ時期に切れる場合は、認定調査をもう一度受けます。区分の有効期間がまだ残っている場合は、支給決定の更新だけを行います。区分の有効期間は、認定結果の通知で確認できます。

重度訪問介護の受給者証は、何か月ごとに更新しますか?

重度訪問介護の支給決定の有効期間は、決定した日からその月の末日までに、1か月から12か月の範囲で市区町村が決めた月数を足した期間です(障害者総合支援法施行規則第15条)。長くても、およそ1年ごとに更新の申請が必要です。

複数の事業所を使うとき、時間はどう分けますか?

各事業所が受け持つ時間(契約支給量)は、事業所が受給者証に書き込みます。すべての事業所の契約支給量を合わせても、市区町村が決めた支給量を超えることはできません(指定障害福祉サービス基準第10条)。

期間の途中で、時間を増やしてもらうことはできますか?

できます。有効期間の途中でも、支給決定の変更を申請できます(障害者総合支援法第24条)。申請書には、病状の変化や介護する家族の状況の変化など、変更が必要になった理由を書きます。